HRCT: High Resolution Computed Tomography 網状影・結節影
びまん性肺疾患は所見と診断が1対1でなく,臨床,画像,病理パターンから疾患を類推していく分野.よって呼吸器科医によっても診断や治療方針が異なることはある.
HRCT所見は「小葉中心性の粒状影が両側上葉優位に分布」のように,「どんな小葉の分布で」「どんな影が」「どんな肺の分布で」を述べる.
線状・網状影
[小葉間隔壁の肥厚 septal thickening]
小葉間隔壁の線維化や浮腫により,胸膜辺縁部で胸膜と直交する線状影が見える.NSIPでは胸膜からわずかに離れた部分に病変が多い.
(subpleural curvilinear shadow)
網状影か重力変化か分からない場合は,腹臥位撮影がお勧め
平滑な小葉間隔壁の肥厚 | リンパ行性の癌やリンパ腫,肺水腫,肺胞蛋白症など. |
結節状や不整な小葉間隔壁の肥厚 | リンパ行性の癌やリンパ腫,サルコイドーシス,珪肺 |
[蜂巣肺 honeycombing lung]
肺胞が高度に破壊され,不規則に拡張した気腔が見える.UIPに特徴的.
周囲の肺胞領域の線維化で,細気管支が引っ張られ不規則な拡張を示す.UIP,NSIPなど.
1 cm程度の小葉間隔壁で区切られた2次小葉と陰影の関係から病変を推定する.気管支と動脈は小葉の中心を,静脈は辺縁を通る.
(著作権の関係で2次小葉の模式図は呼吸器病 New Approach 7 間質性肺炎-びまん性肺疾患. メジカルビュー社; 2002.87, 90 を参照)
小葉中心性(centrilobular)分布
経気道の病変を意味する.
びまん性汎細気管支炎,急性細気管支炎,肺結核,非結核性抗酸菌症,過敏性肺炎,気管支肺胞上皮癌,びまん性嚥下性細気管支炎,Langerhans細胞組織球症など
汎小葉性(panlobular)分布
病変と正常肺野の境界がはっきりしているのが特徴.
細菌性肺炎,器質化肺炎,慢性好酸球性肺炎.
気管支血管束,小葉辺縁性(perilymphatic)分布
リンパ行性の病変を意味する.サルコイドーシス,癌性リンパ管症,悪性リンパ腫,間質性肺水腫,じん肺,肺胞微石症など
ランダム分布(2次小葉と無関係な陰影)
血行性の病変を意味する.癌の血行性転移,粟粒結核,粟粒真菌症,アミロイドーシスなど
by respiresi
| 2015-04-20 23:47
| びまん性肺疾患