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oncological emergency・腫瘍随伴症候群

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嘔気

化学療法・放射線療法の有害事象,オピオイドの副作用,高Ca血症,癌性髄膜炎,脳浮腫など

意識障害

Ca血症,頭蓋内圧亢進,癌性髄膜炎,心タンポナーデなど

呼吸困難

癌性胸水,心嚢水,気道狭窄・無気肺・閉塞性肺炎,上大静脈症候群,喀血など

Na血症

SIADHなど

筋力低下

ランバート・イートン症候群,高Ca血症,Pancoast症候群,脊髄転移・病的骨折など

顔面浮腫

上大静脈症候群など

頸静脈怒張

上大静脈症候群,心タンポナーデ,心不全など

ショック

喀血,心タンポナーデなど

胸痛

癌性胸膜炎,癌性心膜炎,肺塞栓,虚血性心疾患など



ランバート・イートン症候群(LEMS:Lambert-Eaton myasthenic syndrome)
小細胞癌や腺癌で,下肢筋力低下・深部腱反射低下・上肢筋力低下あり.誘発筋電図で, 1~5 Hzの低頻度刺激ではさらに減衰し(waning現象),20~50 Hzの高頻度刺激では2倍以上に増大する(waxing現象).90%以上で抗VGCC抗体陽性.治療は腫瘍の治療.

異所性ACTH産生症候群
小細胞癌に多い.高血糖,浮腫,低K血症,代謝性アルカローシスをきたす.診断は低K血症,ACTH≧200 pg/ml,尿中17-OHCS,17-KS高値,デキサメタゾン抑制試験無反応,副腎皮質刺激ホルモン放出因子正常,下垂体腺腫の否定.治療の原則は原疾患の治療.

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)
低Na血症により全身倦怠感,食欲不振,頭痛,傾眠,痙攣,昏睡などをきたす.診断は,低Na血症,血漿バソプレシンが測定感度以上,血漿浸透圧の低下(270 mOsm/kg以下),尿浸透圧上昇(300 mOsm/kg以上),尿中Na 20 mEq/l以上,腎機能正常,血清コルチゾール 6μg/dl以上.治療の原則は水制限で,高張食塩水とラシックスによるNa負荷を行うときは0.5~1 mEq/l/h以下の変動にとどめないと橋中心髄鞘崩壊を起こす.

上大静脈症候群superior vena cava syndrome:SVC syndrome
上大静脈の圧迫や血栓により顔面・上肢の浮腫,呼吸困難,頚部や前胸部の静脈怒張.急速に起こった場合は側副血行路の発達が間に合わず脳浮腫による神経症状や気道浮腫による呼吸困難を起こすため,化学療法・放射線療法の他に血管内ステント留置を検討する.保存的にはデカドロン16 mg/dayやラシックス.上肢からの点滴は禁忌であり,下肢からの静脈ラインを確保.

Pancoast症候群
肺尖部の腫瘍が腕神経叢や頸部交感神経節をおかし,上腕痛,上肢筋萎縮,Horner症候群(縮瞳,眼瞼下垂,患側顔面の発汗低下)を呈する.化学療法・放射線療法を検討する.

気道狭窄・無気肺・閉塞性肺炎
気道狭窄により呼吸困難を起こすため,小細胞癌では化学療法,非小細胞癌では放射線療法を行う.改善がない場合はステントも検討する.閉塞性肺炎は難治化し敗血症を起こしやすい.


出血・喀血
中枢気道の病変や,癌が血管に浸潤している場合にリスクが高い.多量喀血時はバイタル確認と外液でルート確保,健側肺を上にした側臥位とし,必要なら片肺挿管を行う.緊急気管支鏡で止血するか,気管支動脈塞栓術を行う.

脳転移・頭蓋内圧亢進
症状を有する脳転移には放射線治療.脳転移への放射線の有効率は70~90%,化学療法の有効率は20~40%.
頭痛,嘔吐,意識障害など頭蓋内圧亢進症状や項部硬直を呈する.
脳圧亢進にはリンデロン2~16 mg/dayで漸減.グリセオール200 ml×1日2回または五苓散 7.5 g/dayまたはイソバイド 90 ml/day,抗痙攣剤の投与を行う.

癌性胸膜炎・癌性胸水
呼吸困難,咳嗽,胸痛を起こす.

胸膜癒着術
ピシバニール 5~10 KE+生食100 ml,またはユニタルク4g+生食50 mlをドレーンから注入し,クランプする.30分ごとに体位変換を行い,2時間後にクランプ開放する.CBDCAやミノマイシン100 mgを使う場合はキシロカインを併用する.ピシバニールの場合胸水制御率は70%で,副作用は発熱(60%),疼痛(30%),急性呼吸不全(0~7%),間質性肺炎増悪の報告あり.ユニタルクの場合,胸水制御率は80%.排液が100 ml/day以下でドレーン抜去する.肺膨張不全(trapped lung)では困難.

癌性心膜炎・心嚢水
呼吸困難,咳嗽,起坐呼吸,全身倦怠感,脱力感,動悸のほか心タンポナーデを起こす.胸部CTや心エコーで診断する.心タンポナーデを発症した場合は緊急の心膜穿刺やカテーテル留置,心膜癒着術を行う.
心膜癒着術
ブレオマイシン 15 mg+生食20 ml±1%キシロカイン5~10mlを注入し,2時間後にクランプ解放.排液20 ml/day以下でドレーン抜去.有害事象は胸痛,発熱,感染,不整脈、収縮性心膜炎,心機能低下など.

癌性髄膜炎
頭痛,嘔吐,意識障害など頭蓋内圧亢進症状や項部硬直を呈する.造影MRIや髄液検査で診断する.脳圧亢進にはグリセオール,デカドロン,抗痙攣剤,PPIの予防投与を行う.髄注化学療法や放射線療法を検討する.
Trousseau症候群
悪性腫瘍に伴う凝固亢進により脳卒中症状を起こす.治療は原疾患の治療,抗凝固療法など.

脊髄障害
脊髄転移や病的骨折により脊髄障害が起きた場合,背部痛や対麻痺,直腸膀胱障害を呈する.対麻痺,直腸膀胱障害は48~72時間で不可逆的となるため,脊椎MRIで早急に診断し,ステロイドや,すみやかに放射線照射を行う.病的骨折の危険性が高い場合や脊椎転移が脊髄圧迫を生じている場合には,症状がなくても放射線治療を行う.
腫瘍融解症候群
肺小細胞癌は化学放射線療法に感受性が高く,腫瘍融解により高尿酸血症,高K血症,高P血症,腎不全を起こしうる.
腫瘍径が大きい,治療に感受性の高い,腎不全,脱水,高尿酸血症では,輸液2000 ml/day,アロプリノール内服などの予防を行う.

骨転移
病的骨折では人工骨頭や内固定など.切迫骨折や大腿骨・骨盤への転移は免荷の必要性を整形外科に確認.
ビスホスホネート製剤(ゾレドロン酸)
1ヶ月に1回 ゾメタ(4) 1A + 生食100 ml div.15分以上かけて点滴しないと腎障害が出る.腎機能低下例で減量が必要.投与後4週以降~12週での鎮痛や骨関連事象の減少が期待できる.副作用に顎骨壊死あり,口腔内不衛生,歯科処置などでは投与注意.
RANKLE(redeptor-activated nuclear factor kappa-B ligand)抗体(デノスマブ)
1ヶ月に1回 ランマーク皮下注.ゾレドロン酸よりも骨関連事象の発現を遅らせるが,低Ca血症が多く定期的なCaの測定と,高Ca血症を除きCa 500 mg/day以上,VitD 400 IU/day以上の投与が必要.新カルシチュウD3とデノタスは同成分で,保険が使える分デノタスの方が安い.副作用に顎骨壊死あり,口腔内不衛生,歯科処置などでは投与注意.

高Ca血症
PTH-rPによるものや,骨転移による高Ca血症をきたす.全身倦怠感,筋力低下,口渇,精神症状ある場合にはCaをチェックする.血中PTH-rPや尿中cAMPの測定は高Ca血症の原因の鑑別に役立つ.
補正Ca (mg)=実測Ca (mg)-Alb (g/dl)+4
Ca 12 mg/dl以上では治療が必要で,生食 2~3L/dayで治療を開始し脱水が補正されれば利尿剤を追加,ビスフォスネート,カルシトニン製剤を併用.


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by respiresi | 2015-05-01 23:28 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)
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