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気管支鏡の合併症

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1) 出血 0.1~5%
迅速な圧迫止血(wedge technique)や,生検後気管支に楔入したままで吸引をかける方法(continue suctioning)が多く用いられる.クロットが形成されている場合には吸引せず観察のみにとどめ,血液が流れてくる場合には視野を確保しながら血液を吸引し生検部位まで戻る.エピネフリン散布や出血が多い場合はトロンビン散布し患側を下にする.レンズが曇って視野がとれない場合にはレンズを膜様部へ擦りつけたり,リドカインや生食でフラッシュしながら視野を確保する.それでも視野がとれない緊急の場合は,X 線透視下にブラインドで生検を行った気管支に楔入する.もしくは一旦抜去し替わりのスコープ(大口径)に入れ替える.大量出血では片側挿管し気管支動脈閉塞術を行う.

2) キシロカイン中毒 0.1~0.6%
気管支鏡検査におけるキシロカイン極量は7~8 mg/kg(肝・心機能低下では5 mg/kg).60 kgなら420 mgで4% キシロカインで約10~15 ml.呼びかけに反応しない,変な動きを見せたらキシロカイン中毒を疑い,体動を抑制,呼吸抑制に注意しながらセルシン 1/3Aずつiv.

3) キシロカインショック
肺水腫やショックを起こす.通常のショックと肺水腫の治療に準じる.

4) 気胸 0.1~4%
TBLBの際に鉗子を閉じた時に痛みを確認する.痛みがあれば胸膜を巻き込んでおり気胸のリスクが高くなる.施行後少なくとも1時間あけての胸部XPが望ましい.

5) 発熱 肺生検や肺胞洗浄の10~30%
多くは感染によるものではない.無脾症,人工弁移植術後,心内膜炎の既往がある症例では予防的抗生剤を.

6) 過鎮静
ベンゾジアゼピン拮抗薬
フルマゼニル(アネキセート) 0.2mg i.vで,4分後から0.1mgずつ1分ごとに効果あるまで.再入眠に注意.
オピオイド拮抗薬は「ナロキソン」の項を参照.


by respiresi | 2015-05-02 22:15 | 気管支鏡