ピクトグラムでわかる呼吸器内科

respiresi.exblog.jp ブログトップ | ログイン

カテゴリ:悪性腫瘍・検診( 23 )

肺癌化学療法とケア2015

メディカルスタッフの院内勉強会を受けた方のためのスライド資料です.
c0367011_22044854.jpg

by respiresi | 2016-02-23 17:57 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

外科治療

所属リンパ節
肺癌取扱い規約に則りリンパ節を郭清する.

c0367011_22393013.jpg
c0367011_22393289.jpg
術前リスク評価
・術後呼吸機能予測
術前FEV1.0 × (19-切除区域)/19 × 1/BSA (m2)
統一した見解はないが,術後予測残存一秒量800 ml,600 ml/m2以上で手術可能と考えられる.
・1秒量<1000 ml,%VC 50%未満ではハイリスク.
・間質性肺炎は肺癌手術で10~30%程度,外科的肺生検では2.6%の急性増悪をきたす報告があり,増悪による死亡率は40~50%.周術期にステロイド,シベレスタット,ウリナスタチン,マクロライドの予防投与が試みられているがエビデンスがない.
・日本の報告では急性増悪9.3%,死亡率43.9%(Sato T, et al. Impact and predictors of acute exacerbation of interstitial lung diseases after pulmonary resection for lung cancer. J Thorac Cardiovasc Surg; 147: 1604-1611, 2014.)
・上記の結果を基にした急性増悪のリスクスコアの論文がある.


Risk Score

5点:History of AE:yes

4点:surgical procedure: others(Wedge resection以外)

4点:CT findings: UIP pattern

3点:Preoperative steroid use: yes

3点:Gender: male

2点:KL-6:>1,000 U/mL

1点:%VC:≦ 80

010点:low risk 10%未満

1114点:intermediate risk 1025

1522%:high risk 25%以上



他科術前紹介
・ 喫煙者は呼吸器合併症のリスクが高く,2カ月以上前に禁煙することが望ましい.
・ 気管支喘息の無治療患者は症状が稀でも吸入ステロイドを開始した方が良い.症状コントロールが悪い場合はPSL 0.5 mg/kg 3~7日間を使ってよい.術前6カ月以内に全身ステロイドを使った患者は,術前にソルコーテフ100~300 mgまたはmPSL 40~80 mgを,術中にソルコーテフ100 mgまたはmPSL 40 mg を8時間ごとに投与.

c0367011_22261563.jpg
・術後肺炎リスク


術式

 腹部大動脈瘤

 胸部

 上腹部

 頚部

 脳外科

 末梢血管

15

14

10

8

8

3

半年で10%以上の体重減少

COPD

全身麻酔

意識障害

脳血管障害の既往

輸血

緊急手術

ステロイド

1年以内の喫煙

飲酒歴

7

5

4

4

4

3

3

3

3

2

年齢

 80

 7079

 6069

 5059

17

13

9

4

スコア

~15

1625

2640

4155

56

0.24

1.2%

4.0%

9.4%

15.3%

身体機能

 全介助

 一部介助

10

6

BUN

 ~8

 2230

 30

4

2

3


(Ann Surg 2000; 232: 242-53より引用)


術式

c0367011_22031660.jpg
http://www.cts.usc.edu/lpg-commonreasonsforlungsurgery.html より引用)


by respiresi | 2015-06-29 22:26 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

oncological emergency・腫瘍随伴症候群

c0367011_23274826.jpg


嘔気

化学療法・放射線療法の有害事象,オピオイドの副作用,高Ca血症,癌性髄膜炎,脳浮腫など

意識障害

Ca血症,頭蓋内圧亢進,癌性髄膜炎,心タンポナーデなど

呼吸困難

癌性胸水,心嚢水,気道狭窄・無気肺・閉塞性肺炎,上大静脈症候群,喀血など

Na血症

SIADHなど

筋力低下

ランバート・イートン症候群,高Ca血症,Pancoast症候群,脊髄転移・病的骨折など

顔面浮腫

上大静脈症候群など

頸静脈怒張

上大静脈症候群,心タンポナーデ,心不全など

ショック

喀血,心タンポナーデなど

胸痛

癌性胸膜炎,癌性心膜炎,肺塞栓,虚血性心疾患など



ランバート・イートン症候群(LEMS:Lambert-Eaton myasthenic syndrome)
小細胞癌や腺癌で,下肢筋力低下・深部腱反射低下・上肢筋力低下あり.誘発筋電図で, 1~5 Hzの低頻度刺激ではさらに減衰し(waning現象),20~50 Hzの高頻度刺激では2倍以上に増大する(waxing現象).90%以上で抗VGCC抗体陽性.治療は腫瘍の治療.

異所性ACTH産生症候群
小細胞癌に多い.高血糖,浮腫,低K血症,代謝性アルカローシスをきたす.診断は低K血症,ACTH≧200 pg/ml,尿中17-OHCS,17-KS高値,デキサメタゾン抑制試験無反応,副腎皮質刺激ホルモン放出因子正常,下垂体腺腫の否定.治療の原則は原疾患の治療.

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)
低Na血症により全身倦怠感,食欲不振,頭痛,傾眠,痙攣,昏睡などをきたす.診断は,低Na血症,血漿バソプレシンが測定感度以上,血漿浸透圧の低下(270 mOsm/kg以下),尿浸透圧上昇(300 mOsm/kg以上),尿中Na 20 mEq/l以上,腎機能正常,血清コルチゾール 6μg/dl以上.治療の原則は水制限で,高張食塩水とラシックスによるNa負荷を行うときは0.5~1 mEq/l/h以下の変動にとどめないと橋中心髄鞘崩壊を起こす.

上大静脈症候群superior vena cava syndrome:SVC syndrome
上大静脈の圧迫や血栓により顔面・上肢の浮腫,呼吸困難,頚部や前胸部の静脈怒張.急速に起こった場合は側副血行路の発達が間に合わず脳浮腫による神経症状や気道浮腫による呼吸困難を起こすため,化学療法・放射線療法の他に血管内ステント留置を検討する.保存的にはデカドロン16 mg/dayやラシックス.上肢からの点滴は禁忌であり,下肢からの静脈ラインを確保.

Pancoast症候群
肺尖部の腫瘍が腕神経叢や頸部交感神経節をおかし,上腕痛,上肢筋萎縮,Horner症候群(縮瞳,眼瞼下垂,患側顔面の発汗低下)を呈する.化学療法・放射線療法を検討する.

気道狭窄・無気肺・閉塞性肺炎
気道狭窄により呼吸困難を起こすため,小細胞癌では化学療法,非小細胞癌では放射線療法を行う.改善がない場合はステントも検討する.閉塞性肺炎は難治化し敗血症を起こしやすい.


出血・喀血
中枢気道の病変や,癌が血管に浸潤している場合にリスクが高い.多量喀血時はバイタル確認と外液でルート確保,健側肺を上にした側臥位とし,必要なら片肺挿管を行う.緊急気管支鏡で止血するか,気管支動脈塞栓術を行う.

脳転移・頭蓋内圧亢進
症状を有する脳転移には放射線治療.脳転移への放射線の有効率は70~90%,化学療法の有効率は20~40%.
頭痛,嘔吐,意識障害など頭蓋内圧亢進症状や項部硬直を呈する.
脳圧亢進にはリンデロン2~16 mg/dayで漸減.グリセオール200 ml×1日2回または五苓散 7.5 g/dayまたはイソバイド 90 ml/day,抗痙攣剤の投与を行う.

癌性胸膜炎・癌性胸水
呼吸困難,咳嗽,胸痛を起こす.

胸膜癒着術
ピシバニール 5~10 KE+生食100 ml,またはユニタルク4g+生食50 mlをドレーンから注入し,クランプする.30分ごとに体位変換を行い,2時間後にクランプ開放する.CBDCAやミノマイシン100 mgを使う場合はキシロカインを併用する.ピシバニールの場合胸水制御率は70%で,副作用は発熱(60%),疼痛(30%),急性呼吸不全(0~7%),間質性肺炎増悪の報告あり.ユニタルクの場合,胸水制御率は80%.排液が100 ml/day以下でドレーン抜去する.肺膨張不全(trapped lung)では困難.

癌性心膜炎・心嚢水
呼吸困難,咳嗽,起坐呼吸,全身倦怠感,脱力感,動悸のほか心タンポナーデを起こす.胸部CTや心エコーで診断する.心タンポナーデを発症した場合は緊急の心膜穿刺やカテーテル留置,心膜癒着術を行う.
心膜癒着術
ブレオマイシン 15 mg+生食20 ml±1%キシロカイン5~10mlを注入し,2時間後にクランプ解放.排液20 ml/day以下でドレーン抜去.有害事象は胸痛,発熱,感染,不整脈、収縮性心膜炎,心機能低下など.

癌性髄膜炎
頭痛,嘔吐,意識障害など頭蓋内圧亢進症状や項部硬直を呈する.造影MRIや髄液検査で診断する.脳圧亢進にはグリセオール,デカドロン,抗痙攣剤,PPIの予防投与を行う.髄注化学療法や放射線療法を検討する.
Trousseau症候群
悪性腫瘍に伴う凝固亢進により脳卒中症状を起こす.治療は原疾患の治療,抗凝固療法など.

脊髄障害
脊髄転移や病的骨折により脊髄障害が起きた場合,背部痛や対麻痺,直腸膀胱障害を呈する.対麻痺,直腸膀胱障害は48~72時間で不可逆的となるため,脊椎MRIで早急に診断し,ステロイドや,すみやかに放射線照射を行う.病的骨折の危険性が高い場合や脊椎転移が脊髄圧迫を生じている場合には,症状がなくても放射線治療を行う.
腫瘍融解症候群
肺小細胞癌は化学放射線療法に感受性が高く,腫瘍融解により高尿酸血症,高K血症,高P血症,腎不全を起こしうる.
腫瘍径が大きい,治療に感受性の高い,腎不全,脱水,高尿酸血症では,輸液2000 ml/day,アロプリノール内服などの予防を行う.

骨転移
病的骨折では人工骨頭や内固定など.切迫骨折や大腿骨・骨盤への転移は免荷の必要性を整形外科に確認.
ビスホスホネート製剤(ゾレドロン酸)
1ヶ月に1回 ゾメタ(4) 1A + 生食100 ml div.15分以上かけて点滴しないと腎障害が出る.腎機能低下例で減量が必要.投与後4週以降~12週での鎮痛や骨関連事象の減少が期待できる.副作用に顎骨壊死あり,口腔内不衛生,歯科処置などでは投与注意.
RANKLE(redeptor-activated nuclear factor kappa-B ligand)抗体(デノスマブ)
1ヶ月に1回 ランマーク皮下注.ゾレドロン酸よりも骨関連事象の発現を遅らせるが,低Ca血症が多く定期的なCaの測定と,高Ca血症を除きCa 500 mg/day以上,VitD 400 IU/day以上の投与が必要.新カルシチュウD3とデノタスは同成分で,保険が使える分デノタスの方が安い.副作用に顎骨壊死あり,口腔内不衛生,歯科処置などでは投与注意.

高Ca血症
PTH-rPによるものや,骨転移による高Ca血症をきたす.全身倦怠感,筋力低下,口渇,精神症状ある場合にはCaをチェックする.血中PTH-rPや尿中cAMPの測定は高Ca血症の原因の鑑別に役立つ.
補正Ca (mg)=実測Ca (mg)-Alb (g/dl)+4
Ca 12 mg/dl以上では治療が必要で,生食 2~3L/dayで治療を開始し脱水が補正されれば利尿剤を追加,ビスフォスネート,カルシトニン製剤を併用.


by respiresi | 2015-05-01 23:28 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

抗癌剤の有害事象

c0367011_23130264.jpg

1. 骨髄抑制
7~14日めにnadir(最低値)となり,1ヶ月で回復.Hb 7.0 g/dl,血小板 2.0万以下は輸血.
好中球減少
無熱性好中球減少患者への,ルーチンのGCSFの治療的投与はすべきではない.
添付文書ではSCLCの場合は抗癌剤投与翌日以降,NSCLCの場合は好中球1000/ml未満で38度以上の発熱or好中球500/ml未満のときに,好中球 5000/μL以上になるまでGCSF(granulocyte colony stimulating factor)を連日投与可能.副作用は骨痛など.
ノイトロジン 2μg/kg 1日1回 皮下注 (出血傾向の場合は5μg/kgを1日1回点滴)
グラン50μg/m2 1日1回 皮下注 (出血傾向の場合は100μg/m2を1日1回点滴)

2. 発熱性好中球減少症(FN:febrile neutropenia)

好中球=(桿状核球stab+分葉核球segment)
好中球数が確認できない場合は,白血球数の半数を好中球数として推定する.
好中球数500/μl未満,あるいは好中球数が1000/μl未満で48時間以内に500/μl未満になる可能性がある状況下で,腋窩温で37.5℃以上もしくは口腔内温で38℃以上の発熱.
敗血症性ショックを起こしやすい.標的はGram陽性菌,大腸菌,緑膿菌.長期の場合,カンジダ,アスペルギルスなど.頻度は少ないが重症化するものとしてCorynebacterium,Stenotrophomonas maltophillia, ムーコル,フザリウム,トリコスポロン,スケドスポリウム.
chemo中止. G-CSF製剤の投与.採血,CRP・PCT,胸部XP,血培 2セット(CVC留置の場合CVCより1セット+末梢1セット),感染が疑われる部位の検体の培養,手洗いもしくはアルコールなどによる手指消毒,シャワー浴などでの皮膚の清潔,うがい・歯磨きで口腔内の清潔を保つ,患者に隔離もしくはガウン,マスク,手袋などの着用は必要はない,部屋に植物・生花・ドライフラワーを置かない.ベットとの同居は推奨されない.

がん薬物療法でのGCSF予防投与(抗癌剤投与後1~3日目)

(著作権の関係で図は 日本臨床腫瘍学会. 発熱性好中球減少症診療ガイドライン. 南江堂; 2012: xi. を参照)

持続型GCSF製剤
ジーラスタ:化学療法の翌日以降,3.6 mgを1回皮下注射.予防的投与であり,治療的投与では使えない.

レジメ別FN発症頻度


1020

NSCLCCDDP+CPT-11CDDP+VNRCBDCA+PTX

SCLCCDDP+VP-16AMR

10

NSCLCDTXCDDP+GEMCDDP+PEM

SCLCtopotecanCDDP+CPT-11




MASCC(Multinational Association of Supportive Care in Cancer)スコア
症状

症状

 無症状

5

 軽度の症状

3

 中等度の症状

3

血圧低下なし

5

COPDなし

4

固形癌である, あるいは造血器腫瘍で真菌感染症の既往がない

4

脱水症状なし

3

外来管理中に発熱した患者

3

60歳未満(16歳未満には適用しない)

2


(Klastersky J, et al. The Multinational Association for Supportive Care in Cancer risk index: A multinational scoring system for identifying low-risk febrile neutropenic cancer patients. J Clin Oncol. 2000 ;18:3038-51.より引用)


抗菌薬の予防投与
・高リスク患者(好中球数100 /μL以下が7日を超えて続くことが予想される) へはフルオロキノロンの予防投与.

FNへの初期治療
・GNRをスペクトラムに含むβラクタム薬.
・緑膿菌菌血症や敗血症性ショックではβラクタム薬/アミノグリコシド併用.
・抗MRSA薬は症例を選んで.
・重症化したFNでは抗緑膿菌活性を持つセファロスポリン,カルバペネム,TAZ/PIPCのうち1剤にアミノグリコシドまたはフルオロキノロンのいずれか1剤を加える.MRSA を含む多剤耐性グラム陽性菌感染のリスクがあれば抗MRSA 薬を併用する.

初期治療で解熱したものの好中球減少が続く場合
・解熱し好中球500/μL以上になるまで抗菌薬を継続.
・原因不明熱においては,低リスク患者で全身状態が安定していれば経口抗菌薬(CPFXとCVA/AMPCなど) に変更可能
・高リスク患者では抗菌薬投与により解熱しても再び発熱する危険性が高いため好中球数が500/μL以上に回復するまで経静脈的に抗菌薬の投与を継続する

FNが遷延する場合
・持続性の発熱のみでは必すしも変更の適応とはならない.
・血行動態不安定の場合は,耐性グラム陰性菌,耐性グラム陽性菌, 嫌気性菌,真菌をカバー
・高リスク患者では抗真菌剤を追加.低リスク患者では様子見.


3. 嘔気

急性嘔吐(24時間以内)予防

5-HT3受容体拮抗薬,アプレピタント,デカドロンなど.

遅発性嘔吐(24時間以降)予防

アプレピタント,デカドロンなど

予測性嘔吐(投与前)予防

ワイバックス

予防薬投与後の嘔吐

デカドロン,プリンペラン,ワイパックス,ジプレキサなど

a) 高リスク(シスプラチンレジメ)
b) 中リスク(カルボプラチンレジメ,カルセド,トポテシン)
オプションでアプレピタントを使う時はデカドロンを半量に.
c) 低リスク(ドセタキセル,アリムタ,ジェムザール,ラステット,イリノテカン,TS-1)
d) 最小リスク(ナベルビン,アバスチン,ゲフィチニブ,エルロチニブ)
予防的な制吐剤は使わない
(具体的な投与は 日本癌治療学会. 制吐薬適正使用ガイドライン2010. http://jsco-cpg.jp/item/29/diagram.html  を参照)

5-HT3受容体拮抗薬
アザセトロン(セロトーン),グラニセトロン(カイトリル),パロノセトロン(アロキシ)
パロノセトロンは半減期が長く,遅発性嘔吐にも効く.

NK-1受容体拮抗薬
アプレピタント(イメンド),ホスアプレピタント(プロイメンド)遅発性嘔吐を減らせる.イメンドは原則3日間で,最大5日まで.

4. 下痢
CPT-11,EGFR-TKIは出やすい.特にCPT-11の致死的下痢に注意.ロペミン2C頓用.

5. 便秘
VNR,PTXは出やすい.イレウス症状(間歇的腹痛,悪心,便秘)に注意.硬い便にはマグミット.蠕動が弱い場合にはプルゼニド,ラキソベロン,テレミンソフト.直腸への便の停滞には摘便,新レシカルボン座薬.下行結腸以下の便の停滞にはグリセリン浣腸.ナベルビンによる便秘にはパントールやプリンペラン.

6. B型肝炎
(図は 日本肝臓学会. B型肝炎治療ガイドライン 第1.2版; 2013. http://www.jsh.or.jp/doc/guidelines/B_Guideline_ver1.2_Sept11.pdf を参照)

7. 全身倦怠感
低酸素,不眠,貧血,感染症,疼痛,低栄養,電解質異常,抑うつなど原因があれば治療する.

8. 末梢神経障害
PTX,VNRは出やすい.有効な治療薬はないが,牛車腎気丸,ブシ末,芍薬甘草湯,メチコバールなどを使う.

9. 脱毛
DTX, PTX, AMR, VP-16, CPT-11は出やすい.1~3ヶ月で再生し始め,6ヶ月で戻る

10. 口内炎
PTX, DTX, VP-16は出やすい.イソジンガーグル,アズノール,ハチアズレ,痛みにキシロカインビスカス.イソジンは創傷治癒を遅らせることがある.

11. 抗癌剤の血管外漏出

壊死性

カルセド,ドセタキセル,パクリタキセル

炎症性

トポテシン,ジェムザール,シスプラチン,カルボプラチン

軽度炎症性

アリムタ

(リスク別の対応は別表を参照)

①ステロイド局注
ソルコーテフ100 mg を5 ml の注射器を用い,添付溶解液2 mlで溶解し,リドカイン静注用2%シリンジから2 ml 吸ってtotal 4 ml とする.注射針を27G に交換し漏出部の周囲から漏出部に向け8~12 分割程度で皮下注射する.
②ステロイド外用
デルモベート軟膏等を1日2回擦り込まずに軽く塗布する.症状消失まで連日行う.
血管外漏出を避けるには,細い静脈,反復使用している静脈,関節運動の影響を受けやすい部位,24時間以内に注射した部位より遠位側からのルートを避ける.特に,採血を同日に行う場合は肘正中皮静脈から採血すると多くの静脈がケモルートとして使いづらい.
・乳癌術後リンパ節郭清している側は静脈がうっ滞するので避ける
・透析シャント側はシャントがつぶれるので禁忌

看護向けのガイドラインでは以下のように記載されているが,実際はエビデンスがなくても実施している部分は多い.
・抗癌剤投与終了後の生食フラッシュは予防に有用かは不明だが実施することで生じる害は少ないとされている.
・漏出時に針から漏出液を吸引することは有用性は示されていない.
・ステロイドの皮下・皮内注射の有用性は明確ではない.
・冷罨法や温罨法を推奨するほどの根拠はない.

12. アナフィラキシー,インフュージョンリアクション
PTX,DTX,CBDCAは出やすい.PTXは投与後1時間,CBDCAは6サイクル以後特に注意.
分子標的治療薬はインフュージョンリアクションでアナフィラキシーに似た症状を1~2サイクルめに起こしやすい.

13. 皮膚障害
EGFR-TKIは皮膚障害が出やすく,各製薬会社からケアや治療法の目安が示されている.


抗癌剤 有害事象共通用語基準
(著作権の関係で有害事象共通用語規準 v4.0 日本語訳JCOG 版http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAEv4J_20130409.pdf を参照)


by respiresi | 2015-05-01 22:32 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

治療効果判定・投与期間・再投与の基準

c0367011_22083945.jpg


治療中の効果判定の頻度は,治療の種類やスケジュールに応じてプロトコールごとに決める.CTは2コース毎に評価することが多いが,決まりはない.

治療効果判定
1. ベースラインの測定可能病変と測定不能病変を評価する
2. 判定時点での測定可能病変と測定不能病変を評価する
3. 標的病変,非標的病変,新病変をそれぞれ評価する
4. 表に照らし合わせて総合効果を求める

測定可能(measurable)病変
1. 腫瘍病変(tumour lesions):少なくとも1 方向で正確な測定が可能であり(測定断面における最大径を記録),かつ以下のいずれかのサイズ以上のもの
CTで10 mm
臨床的評価としての測径器による測定で10 mm
胸部X線写真で20 mm

2. リンパ節病変(malignant lymph nodes):病的な腫大と判断され,かつ測定可能なリンパ節はCTで評価した短径が15 mm以上

ベースライン評価において2 個以上の測定可能病変を認める場合,合計が最大5 個(各臓器につき最大2個)までの病変を標的病変として選択し,ベースライン評価での測定値を記録する.

測定不能(non-measurable)病変
小病変(長径10 mm 未満の腫瘍病変または短径が10 mm以上15 mm未満であるリンパ節病変),および真の測定不能病変(軟膜,髄膜病変,腹水,胸水,心嚢水,炎症性乳がん,皮膚や肺のリンパ管症など)を含む測定可能病変以外のすべての病変.

非標的病変の評価



c0367011_22010977.png

c0367011_22011160.png

(JCOG. RECISTガイドラインversion 1.1. http://www.jcog.jp/doctor/tool/RECISTv11J_20100810.pdf より引用)

c0367011_22022825.jpg

c0367011_22022689.jpg

抗癌剤の再投与が可能な全身状態か
目安として,Grade 3~4の有害事象が出た場合には減量を検討する.
どれだけ減量するかは,
① 添付文書に従う
② 根拠論文の基準に従う
③ 各施設で基準を設ける     といった方法がある.

反復投与の大まかな基準は,
白血球数 3,000/mm3以上
好中球数 1,500/mm3以上
血小板数 10万/mm3以上
肝機能 AST/ALT 施設上限値の2.5倍未満
腎機能(クレアチニン) 施設上限値の1.25倍未満
PaO2 60torr以上



by respiresi | 2015-05-01 22:09 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

抗癌剤投与量

投与計画はレジメにより異なる.1コースめは入院で,2コースめ以降は外来で行うことが多いが,病院の実情によって差がある.

体表面積をもとにした投与量
CDDP,Bev,PTX,CPT-11,AMR,VNR,DTX,GEM,PEMの場合
体表面積=体重 0.425 × 身長 0.725 × 0.007184

AUCをもとにした投与量
CBDCAの場合
投与量(mg) = 目標AUC×(GFR + 25)
GFR= (140 - 年齢)×実測体重/72/Cre  (女性は×0.85)
ただし最大100 ml/minとして扱う.

特殊な投与量
TS-1,イレッサ,タルセバの場合

肝・腎機能障害における投与量調節
添付文書に投与量調節の記載はほとんどなく,up to dateやSIOGの推奨,根拠論文などを参考にする.

c0367011_23444015.jpg
c0367011_23444204.jpg



by respiresi | 2015-04-30 23:42 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

SCLCのレジメ

c0367011_23395817.jpg
c0367011_23400083.jpg
c0367011_23392177.jpg
LDの場合
CDDP+VP-16+radiation同時併用が標準的.PSにより,CDDPをCBDCAに変更することもある.CPT-11は血液毒性のため放射線療法と併用しにくく使われない.

by respiresi | 2015-04-30 23:40 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

NSCLCのレジメ

詳細は肺癌学会のガイドラインを参照
(著作権の関係で転載の許可が下りなかったため)

c0367011_22020779.jpg
c0367011_22132775.jpg
c0367011_23281289.jpg

c0367011_22153662.jpg
c0367011_23281496.jpg


by respiresi | 2015-04-30 22:13 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

抗癌剤の禁忌

c0367011_21500193.jpg

骨髄抑制,高齢者,感染症,肝障害,腎障害はほとんどの抗癌剤で投与禁忌か慎重投与.

禁忌

慎重投与

間質性肺炎

GEM(有症状時),AMR(有症状時),CPT-11

DTXGEMPEMVNRPTXAMRgefitiniberlotinibTS-1, crizotinibafatinib, alectinib

胸部放射線療法

GEM

gefitiniberlotinib

胸水・腹水

CPT-11(多量の時)

PEM

虚血性心疾患

GEMVNR

心機能障害

AMR

TS-1

QT延長

crizotinib

浮腫

DTX

喀血

Bev

脳転移

Bev

黄疸・下痢・イレウス

CPT-11

便秘

VNR

下痢

UFT(重篤な場合)

神経筋疾患

VNR

アルコール過敏

PTX

水痘

CBDCACDDPVP-16AMR

UFT

糖尿病

CPT-11TS-1UFT

腹腔内炎症,術創が治癒していない,出血・凝固異常,抗凝固剤,高血圧

Bev

消化性潰瘍

TS-1UFT



by respiresi | 2015-04-30 21:44 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)

化学療法

c0367011_21434226.jpg


殺細胞薬

プラチナ製剤

CDDP

CBDCA

骨髄抑制などの副作用が多い

使ってみるまで効くかどうか分からない

プラチナ製剤以外

CPT-11, VNR, VP-16, PEM, TS-1, UFT, PTX, DTX, AMR

分子標的治療薬

EGFR-TKIEML4-ALK阻害薬,抗VEGF抗体

骨髄抑制などの副作用が少ない.遺伝子解析で効きやすいか予測できることも



プラチナ製剤
DNAに結合してDNA複製を阻害して抗癌作用を示す.
シスプラチン(CDDP:cisplatin)
腎障害予防のため前日~数日後まで大量補液と,ラシックス・マンニトールによる利尿が必要.腎障害(容量依存),嘔気・嘔吐,好中球減少,脱毛,末梢神経障害など.小細胞癌と非小細胞癌では投与量が違う.
カルボプラチン(CBDCA:carbplatin)
シスプラチンとほぼ同等の成績で,嘔気や腎毒性が軽微.大量輸液がいらないので外来化学療法に向く.血小板減少.脱毛,末梢神経障害など


プラチナ製剤以外の殺細胞薬
微小管阻害薬
細胞分裂時に染色体を2つに分ける微小管を阻害して抗癌作用を示す.
ナベルビン(VNR:vinorelbine)
ビンアルカロイド系.好中球減少,血管炎,末梢神経障害,嘔気,便秘など.
パクリタキセル(PTX:paclitaxel)
タキサン系.好中球減少,末梢神経障害(容量依存),関節痛,筋肉痛,嘔気,過敏反応,便秘,脱毛,口内炎など.末梢神経障害予防に牛車腎気丸,メチコバール,COX-2阻害薬,芍薬甘草湯.過敏反応の予防のため,デカドロン,抗ヒスタミン薬,H2ブロッカーを前投与し,点滴開始後1時間はモニターをつけ過敏反応に注意する.アルコール含有.
アブラキサン(NabPTX:Nab-paclitaxel)
アルブミン付加によりパクリタキセルよりも急性過敏性反応が少ない.骨髄抑制,末梢神経障害,黄斑浮腫など.輸血同意書は必要.
タキソテール(DTX:docetaxel)
好中球減少,過敏反応,心嚢液貯留,嘔気,浮腫(容量依存),脱毛,神経障害,口内炎など.アルコール含有.
代謝拮抗薬
DNAの材料の葉酸・ピリミジン・プリンに類似しておりDNA合成を妨げて抗癌作用を示す.
アリムタ(PEM:pemetrexed)
葉酸系.非小細胞癌・非扁平上皮癌に使う.嘔吐,好中球減少症,白血球減少症,貧血,肝障害,口内炎・咽頭炎,血小板減少症,便秘など.投与1週間前にVitB 12(メチコバール)を1000 μg筋注,以降9週(3コース)毎に筋注.投与1週間前から葉酸0.5 mg/day(パンビタン1g)を開始し投与後22日まで投与.NSAIDsと併用注意なのでアセトアミノフェンへの変更を検討する.
1週前にビタミンというのは,臨床試験でのプロトコールでの設定で,4日前でも変わらない報告がある.(Lung cancer 2013; 81: 231-5).

ティーエスワン(TS-1:tegafur gimeracil oteracil)
ピリミジン系.骨髄抑制,嘔気,下痢,口内炎,色素沈着.
ジェムザール(GEM:gemcitabine)
ピリミジン系.好中球減少,血小板減少,間質性肺炎.
テガフール・ウラシル(UFT)
ピリミジン系.術後補助化学療法として1~2年間内服で用いられる.肝障害,口内炎,食欲不振,色素沈着,骨髄抑制など.

トポイソメラーゼ阻害薬
DNA合成酵素トポイソメラーゼを阻害して抗癌作用を示す.
トポテシン(CPT-11:irinotecan)
トポイソメラーゼⅠ阻害薬.白血球減少,下痢,嘔気,脱毛など.WBC 2000以下,Plt 10万以下では投与中止.
早発型下痢は投与直後に起こり,一過性であり抗コリン剤で対処する.遅発型下痢は投与後1~2週で起こり,腸管粘膜障害により重篤化しやすい.下痢対策として,ビオスリーではなく,腸内のアルカリ化のため炭酸水素ナトリウム 2g/3×N, ウルソ(100) 6T/3×Nと,便秘予防のマグミット(330) 3T/3×NをCPT-11投与日より4日間投与する.対症療法としてロペミンを使う.
UGT1A1遺伝子多型
肝臓で代謝産物のSN-38をグルクロン酸抱合するための酵素(UGT)に個人差があり,副作用の差となって現れる.

Grade3以上の好中球減少

Grade3の下痢

UGT1A1*6UGT1A1*28を持たない

14.3

14.3

UGT1A1*6またはUGT1A1*28をヘテロで持つ

24.1

6.9

UGT1A1*6またはUGT1A1*28をホモで持つ,

もしくはUGT1A1*6UGT1A1*28をヘテロで持つ

80.0

20.0


(トポテシン添付文書より引用)

ハイカムチン(nogitecan,topotecan)
トポイソメラーゼⅠ阻害薬.骨髄抑制,嘔気,脱毛.
ラステット(VP-16:etoposide)
トポイソメラーゼⅡ阻害薬.好中球減少,嘔気,脱毛,肝障害,口内炎など.
カルセド(AMR:amurubicin)
トポイソメラーゼⅡ阻害薬.汎血球減少,間質性肺炎,嘔気,脱毛.


分子標的治療薬
抗VEGF(血管内皮増殖因子)モノクローナル抗体
アバスチン(Bev:Bevacizumab)

リスク因子(扁平上皮癌や空洞を有する,大血管への浸潤や隣接,その他喀血・コントロール不能な高血圧,重篤な大血管病変や消化管における活動性出血の既往)のないNSCLCではプラチナ製剤併用化学療法に追加することを検討する.インフュージョンリアクションを防ぐため初回は90分かけて投与し,2回目以降は60分で,3回目以降は30分で投与.本剤の投与終了後に手術を行う場合は、十分な期間をおく必要あり.半減期は3週間程度.

EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)
イレッサ(gefitinib)

腺癌,女性,非喫煙者,東洋人で有効.EGFR遺伝子変異陽性例(T790Mなど耐性遺伝子を除く)で適応があり奏功率が高い.重篤な肺障害が5%で出現するため,投与後1ヶ月は入院またはそれに準じて加療する.発疹,下痢,皮膚乾燥,肝障害など.クラリス,シプロキサン,PPI,H2ブロッカーは併用注意.
タルセバ(erlotinib:ERL)
イレッサよりも高容量.クラリス,シプロキサン,PPI,H2ブロッカーは血中濃度変動あり併用注意.
ジオトリフ(Afatinib)
発疹,下痢,口内炎・粘膜炎,爪周囲炎,鼻出血,掻痒感などで他のEGFR-TKIに比べ有害事象が出やすい.Grade4の間質性肺障害は1/242(Lancet Oncol. 2014;15:213-22.)

EML4-ALK阻害薬
EML4とALK(未分化リンパ腫キナーゼ)の癌性融合遺伝子陽性は,若年発症の肺腺癌,非喫煙者,粘液産生を伴い腺房状構造を示す低分化腺癌,BACパターンが見られない,EGFRおよびKRAS変異陽性例にはみられないのが特徴.
ザーコリ(crizotinib)
1日2回の経口投与.悪心,視覚障害,間質性肺炎,下痢,便秘,浮腫に注意.
アレセンサ(alectinib)
1日2回の経口投与.肝障害,腎障害,味覚障害,間質性肺炎,発疹,便秘,白血球減少に注意.


by respiresi | 2015-04-30 21:43 | 悪性腫瘍・検診 | Comments(0)