気管支鏡検査Bronchoscope 検査前
ガイドライン
呼吸器内視鏡学会から手引き書が出ている.施設により違いが大きいが,当院ルールで記載.
検査前
感染症(HBV, HCV, HIV, 梅毒,喀痰,IGRA),止血検査(PT,APTT,血小板),心電図のほか,アレルギー,心疾患,前立腺肥大,緑内障,出血傾向を確認.
抗凝固療法を行っている患者で生検を行う場合,気管支鏡により休薬することで0.008%の血栓塞栓の合併症がある(Respirology. 2012; 17: 478-85) リスクを説明したうえで一時中断する.
[手術に際して中止する抗血栓薬 当院約束]
(著作権の関係で 割愛)
前投薬
硫酸アトロピンは気道分泌,気管攣縮,迷走神経反射を抑える目的だが,緑内障,前立腺肥大症,重度の不整脈では禁忌.投与しないことも多い.外液でルートを確保する.
局所麻酔
前屈みで顎を軽く前に出し,キシロカイン4%液を吸気に合わせて喉頭噴霧器で吸入.舌を引っ張り出して舌根部より奥に噴霧する.キシロカイン吸収量を減らすため口腔内に溜まった液は吐き出す.
検査中の注意事項
・ 心電図,パルスオキシメトリー、自動血圧測定器を装着
・ キシロカインが眼に入るとしみるので患者さんにガーゼをかけておく.検査を見ていたい患者さんはゴーグルを装着する.
・ カメラはまっすぐ伸ばすように持つと回転操作がしやすい
・ 気管支鏡が声帯を通過すると声が出ないので,検査を始める前に,あらかじめ苦しい時の合図を決めておく.
・ SpO2 90%を保つよう最低でも3Lで酸素投与.
・ 声帯を通るときは吸気のタイミングで,傷つけないように通過する.
・ キシロカインは腹側に静かに散布する.
・ B6,B10はキシロカインが流れ込むので追加散布なし.
・ 咳をしたら,気管支が収縮し気管支鏡で損傷するのを避けるために気管支鏡を引く.咳がひどい時は気管膜様部に退避.
・ 静脈麻酔はミダゾラムが多い.COPD・神経筋疾患では麻酔深度に特に注意する.
・ レンズが曇って視野がとれない場合にはレンズを膜様部へ擦りつけたり,キシロカインや生食でフラッシュして視野を確保する.
気管支鏡システム
当院 | 型番 | 外径/ チャンネル径(mm) |
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○ | UC260FW | 6.9/2.2 | EBUS-TBNA |
| H290 | 6.0/2.0 | NBI 湾曲角度が大きい 挿入部回転機能 |
○ | 1T260 | 5.9/2.8 | バルーン付き超音波プローブによるEBUS |
| 1TQ290 | 5.9/3.0 | NBI 挿入部回転機能 |
| 6C260 | 5.9/2.0 | NBI |
○ | 240 | 5.9/2.0 | 旧型 |
○ | F260 | 5.5/2.0 | AFI |
| 260 | 4.9/2.0 |
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○ | Q290 | 4.8/2.0 | NBI 挿入部回転機能 湾曲角度が大きい |
○ | P290 | 4.2/2.0 | 挿入部回転機能 湾曲角度が大きい |
| P260F | 4.0/2.0 |
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○ | XP290 | 3.1/1.2 | 湾曲角度が大きい |
| XP260F | 2.8/1.2 |
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ポータブル気管支鏡
当院 | 型番 | 外径/ チャンネル径(mm) |
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○ | FB-15BS/FB-15RBS | 4.8/1.95 | (PENTAX社) |
○ | MAF TYPE TM | 5.1/2.6 | モニター付き |
亜区域の命名
原則は「こう・とう・がい」(後,頭,外)の方向が若い番号
右B7は背中側がa, 腹側がb
6, 10は一番頭側がa, 外側がb,内側がc
8,9は外側がa.右なら右寄り,左なら左寄りがa
右中葉・左舌区は外側がa
(画像は著作権の関係で割愛)
右B1,B2,B3は後方がa, 前方がb
左B1+2は,上側からa,b,c
左B3は,下側からa,b,c
左B4a 外側寄り 左B4b 前側寄り
左B5a 外側寄り 右B5b 内側寄り
右B4a 外側やや上側寄り 右B4b内側やや後方寄り
右B5a 前方寄り 右B5b 下側寄り
右B7a 前方寄り 右B7b 後方寄り
B6のa,b,cの分岐の向きとB10のB6のa,b,cの分岐の向きは,a:上側寄り b:外側やや下側寄り c:内側やや下側寄り
B8,9のa,bの分岐の向きは,a:水平に外側へ b:やや下側へ
枝読み
色々なやり方があるが,参考までに.
・中葉,下葉,舌区はCT画像を左右反転する.
・右上葉では,CT画像を反時計方向に90°回転する.
・左上区では,CT画像を時計方向に90°回転する
(栗本 典昭, 中村 治彦, 宮澤 輝臣, 森田 克彦, 野坂 誠士, 村山正毅.超音波気管支鏡(EBUS-GS, EBUS-TBNA). 気管支学 ; 35: 549-551, 2013.)